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 ここ数年「自作キーボード」というジャンルが盛り上がってきています。一方で、スマートフォンが隆盛を誇りVR時代が幕を開けつつあるなど、キーボードがメインの入力機器としての役割を終える時が来る予感もあります。現在の自作キーボードブームによってこだわりを持って開発され愛着を持って使われるキーボードがもっと増えれば、将来キーボードがメインの入力機器としての役割を終えた時に、現代の万年筆のようなポジションをキーボードは得られるかもしれません。

 そんなことを思いながら、本郷開発局においても社内サークル活動として、近年アクセスしやすくなった自作キーボード向けの部品やツールを活用して、メカニカルエンジニアである開発者がどうしても譲れないこだわりを詰め込んで、プロの仕事道具として使えるキーボード"Checkmate"を開発しました。自作キーボードコミュニティでは「自分にとっての究極のキーボード」を指す"Endgame"という言葉がありますが、これは元々チェスにおける終盤戦、大詰めといった意味の言葉です。"Checkmate"はもちろん「王手」という意味であり、妥協なく真の"Endgame"を目指したキーボードとしてふさわしい名前だと考えて命名しました。

 いくつかのこだわりのうち、最初に決めたことは左右分離型とすることです。人間の腕や手は自由度が高いため一体型のエルゴノミック形状でない普通のキーボードもうまく使うことができますが、手首を自然な角度に保ってタイピングを行うためには左右分離型としてそれぞれ腕の向きに合わせた最適な向きに置くのが効果的です。左右分離型であれば間に必要なだけスペースが取れるため、手書きメモやマウスのスペースとしたり、ノートパソコンや液晶タブレットの両側に置くこともできます。次のこだわりはテンキーの位置です。一般的にテンキーは右端に配置されることがほとんどですが、私たちの開発したキーボードでは左端に位置しています。そもそもテンキーの元となった電卓は、会計士や税理士などその道のプロは左手で打つものでした。電卓を左手で打てば、ほとんどの人にとって文字を書く手である右手はペンや鉛筆を持ったままでいられ、合理的です。これはキーボードのテンキーに関しても同じで、テンキーが左にあればCADでの設計などにおいて数値を入力する際にマウスやタブレットペンなどの入力機器から右手を離さずに済みます。また、テンキーを左側に配置すると左右分離型にした際に横に並ぶキー数が左右ユニットどちらにおいても11Uとなり、左右ユニットを自然に同一サイズとすることができる利点もあります。他にもスタビライザーや直付けケーブル、A4ファイルケースサイズ、カスタマイズ可能なファームウェアなどのこだわりを実現しています。

 このようなこだわりを詰め込んだキーボード"Checkmate"は、プロの仕事の相棒としてはもちろんのこと、デスクを彩るこだわりの一品としても楽しんで頂けると信じています。



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